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2008.06.30
  レマン湖からボンジュール!(23) 影武者に翻弄された“元祖・斜面建築”探訪
   TEXT:林田ケイ ( 住宅ライター・ジュネーヴ在住 )
 ここスイスの首都ベルンに有名な斜面建築があると聞いてからというもの、私は虎視眈々とそのチャンスを狙っていました。それは「ハーレン集合住宅」。「アトリエ5」という建築家集団が設計した南面ひな壇の集合住宅で、1961年に完成し、後の斜面建築のあり方に多大な影響を与えたというものです。そして今年の2月、ついにその機会に恵まれた私は、無事にその姿をカメラに収めることに成功したのでした。
 ところが、帰宅後に調べてみると、ネット上に紹介されている写真のどれもが、私が撮影してきたものと微妙に違います。たった一つだけ、同じ住宅の写真を掲載している人がいたのですが、その人は自信満々に「ハーレン集合住宅」について語った後、テキストの最後でコッソリ「どうやらこれはハーレン集合住宅ではなかったようです」と告白しており、私はいよいよ、自分の間違いを認めないわけにはいかなくなるのでした。どうやら近くにあった斜面建築と取り違えてしまったようなのです。
 このままでは引き下がれないと、再度ベルンに向かったのが5月。最寄りのバス停名もバッチリ調べてきたので、今度は間違うはずないぞ! と意気込みながらバスを降り、闇雲に丘を上がると、そこには初夏の日差しを受けて輝く、非常に好ましい感じの斜面建築が。「これだ!」とばかりにバシャバシャ写真を撮った私でしたが、ふと不安になり、近くにいた住人に「これってハーレン集合住宅ですよね?」と確認すると「ナイン(ドイツ語で『No』)。ここから10分くらい歩いたところだよ」だって! かくして私は10分後、やっとこさ本命にたどり着き、今度こそ正真正銘「ハーレン集合住宅」の撮影に成功するのでした。山がちなスイスだけに、「元祖・斜面建築」をこぞって真似た結果、似たようなものがいくつも出現してしまったということなのでしょうか。お蔭でとんだ斜面建築探訪となってしまったのでした。
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